UNDB-Jの活動について

Special Article

MISIA歌手

MISIA:2010年、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)名誉大使を、2013年には第5回アフリカ開発会議(TICAD V)名誉大使を務めた。森林保全活動や環境教育プログラムなど、数々の活動を通して情報を発信する。

MISIAとCOP10名誉大使、生物多様性についての関係について。

貧困問題に関心を持ち、アフリカへ視察に行ったり、直接現地の方の生活を見たり、お話を聞いたりする中で学んだことの一つが、貧困を生み出す一つの原因として、開発などによる環境破壊が関わっているということでした。
それまで自給自足で暮らしていた人々が、開発のための水質汚染などが原因で魚が食べられなくなったり、急速な近代化の中で伝統的な暮らし方が出来なくなり、その地域の自然のバランスが崩れ、生活向上のために行われた開発が逆にそこに暮らす人々の生活を困難なものにしてしまったり。生物多様性の損失というものが、現在世界で起きているあらゆる問題と密接に関わっていることを知りました。
このような経緯があり、2010年に国連より名誉大使のお話を頂戴し、COP10という大きな会議をきっかけに、一人でも多くの方に、生物多様性の重要性を理解してもらいたいという想いで、大使をお引き受け致しました。

生物多様性について、社会がやらなければならないことはどんなことだと思いますか。

以前、石川県で県内有数の大きさの棚田視察した際、減農薬の試みにより、生きものが帰ってきたと伺いました。『今ならまだ、間に合うことがあります。そして自然界には雑草という植物も害虫という虫も居ません』と言われた言葉が忘れられません。私たち一人ひとりの意識と知識、そして取り組み。これらが生態系の保全に繋がるのだと改めて実感しました。
私たちの生活は生物多様性と切り離せません。社会全体でそのことを知り、意識し、いままで当たり前に享受していた豊かで便利な生活を見直し、生物多様性に配慮した取り組みを社会全体で考えることが必要だと思います。

生物多様性について、個人ができることはどんなことだと思いますか。

私たちにできることはたくさんあります。私たち一人ひとりが生物多様性を意識し、賢くなることが必要です。例えば生物多様性に配慮した認証商品を購入すること。間伐材を使った商品を購入すること。無駄なものは購入しないこと。そんな小さな取り組みは、生物多様性の保全につながるのです。
私たちは、生物多様性の中に生きています。1人ひとりの意識と知識を高めることで、身の回りの自然へ目を向けてもらい、沢山の命が繋がってもらえればと思います。

生物多様性に関することで実際に取り組んでいることは何ですか。具体的に教えて下さい。

生物多様性について知ってもらおうと、*SATOYAMA BASKETというウェブサイトを立ち上げ、生物多様性に関する様々な情報を発信しています。
そして少し難しく感じる生物多様性をまずは森に接してもらうことで『体感』して学んでもらおうと、現在石川県津幡町と神奈川県横浜市栄区で「MISIAの森」というプロジェクトを行っています。石川県では、2011年より県有林をお借りして森の保全活動を行っているほか、環境教育プログラムや、賛同するアーティストの方によるアートプロジェクトも行っています。
横浜市の方でも、森で多くのイベントが行われていて、そのイベントのことや、森での生き物の生活の紹介、また生物多様性保全のために行われている活動などを、毎週私が担当させていただいている『MISIAの森だより〜Letters from the forest〜』というラジオ番組のコーナーで紹介させていただいています。

UNDB-Jへのメッセージをお願いします。

2010年10月、COP10は無事閉幕しました。しかし、これからが始まりなのだと思います。国連生物多様性の10年は、10年という歳月をかけて、名古屋で世界が約束した生物多様性を守るための様々な取り組みを進めていく、大切な大切な10年なのだと思います。
私たちができる事はたくさんあります。私たちをとりまく身近な自然ことを知ること。生物多様性に配慮した商品を購入すること。人に伝えること。
日本はむかしから自然を愛で、たくさんの命の恵みを感謝する、自然に寄り添った生活がありました。生物多様性を考えるとき、あらゆる命によって、私たちが活かされていることを強く感じます。そのことに気付くとき、私たちは、共に生き、つながりあう大切さ、そして自然への感謝と畏敬の念が生まれてくるのだと思います。
ぜひこの機会に、一人でも多くの方たちに、身の回りの自然への眼差しと感謝の気持ちを思い出していただければと願っています。

*SATOYAMA BASKET ≫ http://satoyamabasket.net/