人間の暮らしを支える根幹である生物多様性を保全するには、単にその場の自然環境を守るだけでなく、生物多様性の恩恵を受ける社会全体で生物多様性の価値を理解し、守る行動をしていかなければなりません。
2011年から2020年までの10年間は、国連の定めた「国連生物多様性の10年」です。
2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された、生物多様性保全のための新たな世界目標である「愛知目標」の達成に貢献するため、国際社会のあらゆるセクターが連携して生物多様性の問題に取り組むこととされています。
これを受け、「愛知目標」の達成を目指し、国、地方公共団体、事業者、国民および民間の団体など、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みを推進するため、「国連生物多様性の10年日本委員会」(UNDB-J)が2011年9月に設立されました。
UNDB-Jの役割
UNDB-Jは、国内各地で生物多様性保全活動を行う団体・企業・行政・機関などへの情報・交流の機会などを提供し、各活動の連携を促進します。
UNDB-Jの事業
UNDB-Jでは、愛知目標の達成を目指し、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進するため、連携事業の認定や推薦図書等の選定、イベント開催、生物多様性主流化推進チームによる広報・主流化、普及啓発ツールの紹介などを行っています。
1. 連携事業の認定
愛知目標の達成に向けた各セクターの参加と連携を促進するため、「にじゅうまるプロジェクト」の登録事業等の中からUNDB-Jが推奨する連携事業を認定しています。
2. 推薦図書等の選定
生物多様性の理解や普及啓発、環境学習にも資する図書、映像・音楽、各種グッズ等を推薦ツールとして選定しています。
3. 各種イベント開催
生物多様性全国ミーティング、生物多様性地域セミナー、生物多様性出前講座等を開催しています。
4. 生物多様性主流化推進チーム
地球いきもの応援団、生物多様性リーダー、生物多様性キャラクター応援団による広報、Iki・Tomoパートナーズによる主流化に取り組んでいます。
5. 普及啓発ツール・アイテム
MY行動宣言やグリーンウェイブの実施呼びかけのほか、生物多様性マガジン『Iki・Tomo』、環境教育教材、パンフレット・リーフレットの作成・配布を行っています。
6. その他の活動
国際社会への情報発信や各種イベントへの出展などを行っています。
国連生物多様性の10年とは
「国連生物多様性の10年(United Nations Decade on Biodiversity)」は、 2011~2020年までの「生物多様性戦略計画」を生物多様性条約事務局の支援のもと、国連機関や国連加盟国など国際社会が協力して、生物多様性の主流化を推進し実現すること、とされています。
2010年10月に名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」で日本政府から提案され、最終日に国連総会で採択するよう勧告することが決議され、 2010年12月20日、第65次国連総会で決議(決議65/161)されました。国連提唱の取り組みとなったことで、生物多様性条約に締結していない各国の取り組みなども含めた世界中の取り組みとして推進されることになりました。
COP10で日本政府が行った提案は、生物多様性市民ネットワーク(CBD市民ネット)とIUCN日本委員会の働きかけがもとになっています。
「国連生物多様性の10年」を支援する「国連生物多様性の10年NGOイニシアティブ」も提唱されています。