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Interview:生物多様性リーダー

森田 正光(もりた まさみつ)気象予報士

森田 正光(もりた まさみつ)

生物多様性についてご自身が生活の中で大切にされていることや、特に意識されていることについて教えて下さい。

現代の私たちは、様々なものに囲まれ、昔には想像もできない便利な社会で生活しています。
しかし、その便利な生活は、土壌や、森林、水、地下資源といった、自然の破壊の上に成り立っていることを忘れてはいけません。
大量の資源を輸入、加工し、大量消費型社会は、大量のごみを発生させている。環境問題の根底は、この消費型社会自体にあり、今の我々の生活スタイルが、様々な問題を引き起こしているのです。
便利な社会になる一方、我々の未来を犠牲にしている。時には人工物を排除し、自然を回復することが大切なのだと思います。

いま、取り組まれている具体的な生物多様性に関する取組があれば、教えて下さい。

私は講演会で、温暖化や都市化についての話をさせていただいています。
この数十年、地球規模で気温が高くなっているのは明らかですが、温暖化が進むにつれ、動植物に大きな変化が現れ、やがて生態系の破壊につながる恐れがあります。
環境省も「第3次生物多様性国家戦略」を掲げていますが、私自身、生態系の維持、保全に努め、寄付活動などに取り組んでいます。また、私が食材を買うならば、旬のもの、地域のものを意識的に選んでいます。

生物多様性を身近に感じるために、参考となる書籍、映画、ゲーム、グッズ等についてお勧めがありましたら教えて下さい。

<お勧めの書籍>
「超訳 種の起源~生物はどのように進化してきたのか」チャールズダーウィン著、技術評論社出版、2012年
「にほんのいきもの暦」日本生態系協会著、アノニマスタジオ出版、2009年
「美しいくにをつくる新知識~持続可能なまちづくりハンドブック」池谷泰文著、ぎょうせい出版、2007年

誰もが取り組める生物多様性を大切にする行動はどのようなことだと思われますか。

生態系の多様性を維持することは、良好な環境状態を保つことです。
我が国の現状として、国土の7割を占める森林のうち、生物の多様性が高い自然林は約3割に過ぎず、それも北海道に集中していることがあげられます。
まず、自然に触れる、植物を育てる、自然を汚さない、CO2を減らす、ごみを減らす、自然の良さを感じ、伝える、そんなひとりひとりの行動が、生物多様性を守ることにつながると思います。

読者の皆さんへメッセージをお願いします。

現在の生物多様性は、何十万、何百万年という時がつくり出したものです。
我々が現在の生態系を破壊し、動植物を絶滅させることがあれば、それは何百万年という歴史を否定することに等しいのです。
近年、高速道路の増加などで便利になった自動車社会。しかし一方で、野生動物のれき死が増加し、排気ガスは大気汚染にもつながっています。また、海洋では、廃棄されたプラスチックごみをウミガメや海鳥が飲み込む被害も出ています。
私たちが今後、地球上で生活し続けていくには、自然を維持、保全していくことが大事だと思うのです。

森田 正光(もりた まさみつ)

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