過去のお知らせ

国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)ロードマップを発表しました。

2016.10.20


国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)ロードマップ

平成28年10月
国連生物多様性の10年日本委員会

はじめに

<UNDB-J のこれまでの取組の経緯>

2011年から2020年までの10年間は、国連の定めた「国連生物多様性の10年」。生物多様性条約第10回締約国会議(2010.10 愛知県名古屋市)で採択された、新たな世界目標である「愛知目標」の達成に貢献するため、国際社会のあらゆるセクターが連携して生物多様性の問題に取り組むこととされている。

これを受け、愛知目標の達成を目指し、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取組を推進するため、「国連生物多様性の10年日本委員会」(UNDB-J)が 2011年9月に設立された。

UNDB-Jは、国、地方自治体、経済界、NGO/NPO・ユース、学識経験者、文化人等といった7名・31 団体から構成されており、これまで各構成団体がそれぞれの立場で生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取組を推進してきており、着実な成果を上げてきた。
政府においても、生物多様性国家戦略 2012-2020の策定、実施を通じ、愛知目標の達成に向けた取組を進めている。一方で、世論調査によれば「生物多様性」の言葉の認知度が平成 24 年度の 55.7%から平成26年度は46.4%に低下している。また、生物多様性の認知度に加え、自然とふれあう実体験を通じ、自然の恵みを実感し、自然共生社会への理解を深めることも必要であるが、近年では自然体験 をほとんどしたことがないという子どもや若者が増えている。加えて、生物多様性に関する取組は、地球温暖化防止の取組のように、一般化している状況には至っていない。

また、生物多様性の保全や持続可能な利用に向けた動きは各地で進展しつつあるものの、個々の地域での点的な取組や個別主体の取組にとどまっており、面的にも分野的にも横断的な取組を進めていくことが課題となっている。
この点については、UNDB-Jのこれまでの取組においても、セクター間の連携や構成団体内外の連携が十分でなかったことが、UNDB-J中間評価(平成27年11月)においても課題として上げられているところである。
こうした状況から、現状の取組を続けるだけでは愛知目標1に掲げられた、2020 年までに「人々が生物多様性の価値と行動を認識する」を我が国で達成することは困難である。

したがって、愛知目標の達成期限である 2020年に向けて、更なる取組の強化を行うため、UNDB-J運営部会、幹事会等の場における議論を経て、国家戦略において示されている「自然共生社会における国土のグランドデザイン」を踏まえつつ、UNDB-Jとして目指すべき社会像を再度確認・共有し、その社会像に向けた具体的取組や数値目標を含む「UNDB-J ロードマップ」をとりまとめた。

今後、本ロードマップに基づき、多様な主体の連携のプラットフォームであるUNDB-J の場を活用しながら、各構成団体は目指すべき社会像に向けた取組を進めていく。

<社会的背景と UNDB-Jの役割>

我が国では、今後10年、20年先の社会を考えた時、少子高齢化による人口減少、それに伴う地方の衰退といった社会的課題が顕在化するものと考えられる。この影響は、例えば、人口減少や高齢化による活力の低下に伴い、里地里山では自然に対する働きかけの縮小による生態系への危機といった形で現れつつある。一方で、ICT等の技術革新を通じた新たな産業の創出やそれを通じた社会環境の変革の可能性もある。また、地球温暖化等、地球環境の変化についても、例えば災害の激甚化等といった形で、人間生活や社会経済へ大きな影響を及ぼすことが予測されている。
2015年は、持続可能な開発目標(SDGs)を含む「持続可能な開発のための 2030アジェンダ」や、気候変動に対する新たな法的枠組みである「パリ協定」が採択されるなど、持続可能な社会の実現に向けて、世界は動き出している。また、2016年 5月のG7環境大臣会合においては、生物多様性の保全が議題の一つになったところである。

このような中で、私たちの暮らしをはじめ、さまざまな経済活動が、食料や水といった資源の供給だけでなく、自然災害による被害の軽減、自然景観やレクリエーションの場の提供等も含む生物多様性の恵みに支えられていることを十分認識し、このような自然の恵みを活かした産業や地域づくりといった取組を進めていくことが必要である。
そのためには、まず私たち自身の日頃の暮らしの中に生物多様性に関する認識をしっかり根付かせ、自然の恵みを意識したライフスタイルに変えていく必要がある。

このため、UNDB-Jでは、自然の恵みを意識したライフスタイルへの転換を通じて、生物多様性の保全と持続可能な利用を、地球規模から身近な市民生活のレベルまで、さまざまな社会経済活動の中に組み込む「生物多様性の主流化」に向けた取組を今後より一層促進することで、自然共生社会を構築し、持続可能な社会の実現を目指していく必要がある。

Ⅰ.目指すべき社会像

愛知目標の達成期限である 2020年に向けて、更なる取組の強化を行うために、生物多様性国家戦略において示されている「自然共生社会における国土のグランドデザイン」を踏まえつつ、UNDB-Jとして目指すべき社会像を、以下の通り確認・共有する。

<目指すべき社会像>

自然の恵みを意識したライフスタイルへの転換を通じた、生物多様性の保全と持続可能な利用が組み込まれた自然共生社会の構築と、持続可能な社会の実現。

 

1.生物多様性に配慮した消費活動・産業活動が普及している
① 認証商品等の環境に配慮した多種多様な商品・サービスの価値が広く認識されることで、それらの商品・サービスが流通し、選択する消費者が増えている。
② 企業活動における生物多様性へ配慮した取組が進み、適切に評価されている。

2.日頃から自然とふれあうライフスタイルが一般化している
① 四季折々の身近な自然も含めた、自然に触れ、学ぶ機会が増加している。
② 動物園、水族館、植物園、博物館、図書館等の市民が集う場が、学校教育とも連携し自然を学ぶ場となっている。
③ 自然を守る活動に多くの人々が参加し、また活発に行われている。

3.生物多様性の保全と持続可能な利用を通じた都市や地域づくりが進んでいる
(1)自然あふれる都市空間の創造
① 生物多様性に配慮したまちづくりがなされている。
② 東京オリンピック・パラリンピックで生物多様性に配慮した取組が行われ、その取組はその後も定着している。
(2)生物多様性に配慮した農林漁業を通じた地域活性化
① 農林漁業において生物多様性に配慮した取組が進み、生物多様性が回復している。
② 森里川海を保全し、つなげ、活用することを通じた地域活性化がなされている。

4.生物多様性の保全と持続可能な利用が組み込まれた自然共生社会の基盤が形成されている
① 環境教育等を通じて、生物多様性の概念が広く国民に認知・理解され、多くの国民が生物多様性に配慮した行動を行っている。
② 様々な主体の連携による取組を促進するためのプラットフォームが形成されている。

Ⅱ.目指すべき社会像に向けたステップ

Ⅰで再度確認・共有した「目指すべき社会像」に向けて、長期的視野に立ち、以下のステップを念頭におき取組を進めていく。

① MY 行動宣言数、にじゅうまるプロジェクト登録数の増加等による、生物多様性の保全及び持続可能な利用に取り組む、社会的な機運の醸成【2016年~2020年まで】

② 社会像に向けた各主体による具体的な取組の展開【2016年~】

③ 目指すべき社会像の達成【20XX年】

Ⅲ.目指すべき社会像に向けた取組の方向性

UNDB-J構成団体は、企業、NPO等のUNDB-J 構成団体以外の様々な主体と連携しながら、Ⅰで再度確認・共有した目指すべき社会像に向けて、以下の方向性に基づいた取組を進める。

目指すべき社会像「1.生物多様性に配慮した消費活動・産業活動が普及している」に向けた取組の方向性

① 企業、消費者に対して、生物多様性に配慮した生産・流通・消費活動等に関する教育・普及啓発を行う。【1.①】
② それぞれのもつ既存のツールを活用し、認証商品等の生物多様性に配慮した商品について、消費者に対して的確な情報提供を行う。【1.②】

目指すべき社会像「2.日頃から自然とふれあうライフスタイルが一般化している」に向けた取組の方向性
① 自然のフィールドにおける自然体験活動や動物園、水族館、植物園、博物館、図書館等における環境学習の場において、学校教育とも連携しながら、生物多様性に関する普及啓発活動を行う。【2.①】
② 国、自治体、NPO 等の民間団体、地域住民、農林漁業者、企業、専門家等の様々な関係者の連携による自然環境保全活動を推進する。【2.②】

目指すべき社会像「3.生物多様性の保全と持続可能な利用を通じた都市や地域づくりが進んでいる」に向けた取組の方向性
(1)自然あふれる都市空間の創造
① 生物多様性に配慮した緑地の整備等を通じて、既存の緑地等とのネットワークとしてつなげていく。
【3.(1)①】
② 都市の緑地等におけるイベント等を通じて、普及啓発を行う。
【3.(1)②】

(2)生物多様性に配慮した農林漁業を通じた地域活性化
① 生物多様性に配慮した農林漁業を通じた地域活性化(農産物販売、里山暮らし体験等)の取組を推進する。【3.(2)①】
② 多様な主体の連携による、農林漁業を活用した環境学習を通じた生物多様性理解のための取組を推進する。【3.(2)②】

目指すべき社会像「4.生物多様性の保全と持続可能な利用が組み込まれた自然共生社会の基盤が形成されている」に向けた取組の方向性
① 生物多様性に関する普及啓発、取組を推進する人材育成を行う。
【4.①】
② 生物多様性地域戦略の策定、様々な主体が意見交換を行う場の設定等を通じて、取組の促進を図る。
【4.②】
③ 生物多様性に配慮した取組について適切な評価を行う。
【4.③】

Ⅳ.目指すべき社会像に向けた具体的な取組

UNDB-J構成団体は、Ⅱで確認・共有した目指すべき社会像に向けて、Ⅲで示した方向性に基づき、2020年までに具体的に以下の取組を行っていく。なお、具体的な取組や目標は、今後随時、追加・更新していく。

(1)UNDB-Jの取組
自然の恵みを意識したライフスタイルへの転換にあたっては、国民一人ひとりの意識の変革が必要。意識の変革を通じて、各構成団体の取組の実効性も上がる。そのためのツールとして、「MY 行動宣言100万人」、「にじゅうまるプロジェクト2020宣言」、「生物多様性の本箱300館展示」、「グリーンウェイブ」、「生物多様性の日普及一斉キャンペーン」といった取組を実施する。
また、各主体の取組を一層促進するため、各主体の取組の連携促進のための場を設ける。また、引き続き、認定連携事業や生物多様性アクション大賞を通じて、優良な取組を発掘・広報することで、生物多様性に関する取組を日本全国に広げていく。
これらの取組を通じて、自然の恵みを意識したライフスタイルへの転換に向けた、社会的な機運の醸成を図る。
具体的な取組のロードマップは別紙1の通り。

(2)構成団体による取組
国民意識の変革を具体的な行動につなげ、目指すべき社会像を実現するために、構成団体はそれぞれの取組を行う。なお、具体的な取組のロードマップは別紙2の通り。

(3)構成団体の連携による取組
目指すべき社会像を実現するために、構成団体による個別の取組だけではなく、構成団体内外の連携した取組を行う。具体的な取組のロードマップは別紙3の通り。

※ 別紙に記載の取組のうち、参考指標や2020年の目標は、参考1に抜粋して整理している。
※ 別紙に記載の取組の詳細は、参考2に整理している。

 

UNDB-Jロードマップ本文(PDF/280KB)

【別紙1】UNDB-Jの取組工程表(PDF/110KB)

【別紙2】構成団体による取組工程表(PDF/110KB)

【別紙3】構成団体の連携による取組工程表(PDF/110KB)

【参考1】具体的な取組の目標(工程表からの抜粋)(PDF/273KB)

【参考2】具体的な取組の個票(PDF/859KB)

 

 

back