UNDB-Jの活動について

Interview:生物多様性リーダー

小菅 正夫(こすげ まさお)北海道大学客員教授/元旭山動物園園長

小菅 正夫(こすげ まさお)

生物多様性についてご自身が生活の中で大切にされていることや、特に意識されていることについて教えて下さい。

多くの人に生物の多様性に関心を持って貰うことが大切だと思っています。
私は「動物屋」なので、常に動物に関するコメントを発するように心がけています。特に外来種への対策については意識的にコメントしようと思っています。

いま、取り組まれている具体的な生物多様性に関する取組があれば、教えて下さい。

森を見に行く、川を見に行く、野原を見に行くことを春、夏、秋とやり続けています。山菜採りや小動物(昆虫やカエル、サンショウウオなど)を同じ場所で同じ種類が同じくらい見つかるかどうかを確認するためです。このことが身近な自然の変化をいち早く気付く方法だと思うからです。
某テレビ番組に出ているのですが、動物に関することは私にコメントさせてもらうようにしております。昨秋、札幌市内にヒグマが出没して時も冷静に対応する必要性や、大都市近郊にヒグマが生息していることの貴重性をコメントしました。
某団体とエコツアーを募集し、多様性の持つ意味や現地の多様性を維持する取り組みを学びに行っています。(小笠原、ボルネオなど)
学校で、子どもたちに「動物ってすごい」という演題で動物の話をしていますが、そのなかで多様性の意味を伝えるよう心掛けています。

生物多様性を身近に感じるために、参考となる書籍、映画、ゲーム、グッズ等についてお勧めがありましたら教えて下さい。

百聞は一見にしかずですからねぇ・・・特にありません。

誰もが取り組める生物多様性を大切にする行動はどのようなことだと思われますか。

時間があれば、近くの森や野原や川などを見に行くことです。そして小さな生きものを見つけましょう。たくさんの生きものが見つかります。その生きもののことを調べて記録しましょう。いつでも、誰にでも出来ることです。(だから私も続いているのです)
調べてみると外来種が身の回りにたくさんいることに誰でも気付きます。私の周りにもミンクやアライグマをはじめヒキガエル、セイヨウオオマルハナバチ、オオモンシロチョウ、ウチダザリガニなどたくさんの外来種がいます。このことに気付くこと、在来種に対する影響を知ること、その対策を考えること、そして駆除へ向けた活動に参加することが大切だと思います。

読者の皆さんへメッセージをお願いします。

生きものの暮らしを見ましょう。庭にもベランダにもたくさんの生きものが棲んでいます。近くの公園や川や沼にはさらにたくさんの生きものが生きています。たまに山裾の森へ出かけて行くと、見たこともない生きものに出会えます。
まだ見たことのない生きものに出会った時の感動は喩えようもありませんし、出会った生きものの観察リストが増えてくると”ニヤリ”となってしまうこと請け合いです。そうすれば、あなたは立派な生きもの博士です。そして、あなたが講師になり、子どもたちを連れて生きもの観察会をやりましょうね。みんなで、多くの生きものと楽しむ仲間を増やしていきましょう。

【MY行動宣言:つたえよう】
動物たちが暮らしている場所へ行って、その自然環境に浸っています。そこで感じた動物たちに囲まれている歓びや感動を自分で撮影した映像を使いながら、多くの人に伝え続けます。

【MY行動宣言:たべよう】
私は、どこへ行っても地元の郷土料理を食べています。野菜や魚ばかりでなく、特産の肉やジビエがあれば必ずいただきます。そしてお土産として持ち帰り、友人と共に楽しんでいます。多様性の国・日本の豊かさが実感できます。

【MY行動宣言:ふれよう】
春と秋のマガンやハクチョウの渡りがすばらしい。サクラマスやカラフトマス、シロサケが産卵のために犇めくように川を遡上する姿や根室海峡に現れるシャチやマッコウ、ミンク、ツチなどのクジラ類と出会ったときは、思わず叫び声を上げそうになります。テレビでは味わえない感動です。

photo_kosuge

 

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